インプラント治療の流れ Flow
当院で採用している
「二回法」の手術とは
インプラントの手術方法には、「一回法」と「二回法」とよばれる方法があります。インプラント治療は、インプラントを埋め込むために歯肉を切開する必要がありますが、その外科手術が1回のみか、それとも2回に分けるか、といった違いになります。
「外科手術が一度で済むならば一回法が良いのでは」と思われるかもしれません。しかし、一回法は顎骨の量が少ない場合は適用できないケースがあります。また、骨造成を行なった場合には、感染症のリスクが高まります。
二回法は、インプラントを埋入後に歯肉で覆って縫合します。2~6ヵ月の治癒期間を経て再び歯肉を切開し、定着したインプラントにアバットメント(インプラントと人工歯をつなぐパーツ)を取り付けます。一回法では、アバットメント取り付けまでを1回の手術で終えたあとに治癒期間へ入りますが、より安全にインプラントを定着させるため、当院では基本的に二回法を採用しています。
Flow インプラント治療の流れ
カウンセリング
まずは患者さまのお悩みについてお聞きします。治療方法はインプラントだけとは限りません。より適切だと思われる治療方法をご提案します。
検査・治療方針の決定
当院で使用している3D-CTなどの機器を使用し、歯や骨の状態を把握。多角的に分析し、どのように治療を進めるか計画を定めます。
歯周病・虫歯などの治療
歯周病や虫歯などの症状が見られる場合は、インプラント手術の前に治療する必要があります。インプラント治療は長い期間にわたって行なうので、お口の中を健康な状態にしてからスタートします。
インプラント植立手術(1回目)
歯が抜けた部分の顎骨にインプラントを埋め込みます。埋め込んだインプラントの上に歯肉を被せて縫合して傷口をふさぎ、インプラントと骨とが結合するのを待ちます。治癒期間として、2~6ヵ月ほどを見込んでいます。当院のインプラント手術は、麻酔科医が麻酔を行ないます。どうぞ安心して手術に臨んでください。また、痛みをさらに軽減する静脈内鎮静法という治療も行なっていますので、気になる方はご相談ください。
アバットメント取り付け手術(2回目)
インプラントと骨が結合したのを確認し、歯肉を切開してアバットメント(インプラントと人工歯をつなぐパーツ)を取り付けます。
仮歯装着・人工歯の調整
仮歯を装着し、噛み合わせ、発音、使用感などのデータをもとに実際に取り付ける人工歯を調整していきます。また、仮歯の装着は、早い段階で顎骨に刺激を与えて活性化させるので、インプラントの定着がより良くなります。
人工歯作製・インプラント装着
調整した人工歯を装着します。ここでも噛み合わせなどを入念にチェックし、インプラント治療が完了します。
メンテナンス
インプラント治療を終えると、周囲組織に炎症を起こすインプラント周囲炎を発症することがあります。そうしたトラブルを避けるためには、日ごろからの歯磨きと、定期的なメンテナンスが不可欠です。ご家庭ではできないクリーニングやお口の中のチェックなどを受けていただくことで、インプラントをより長くご使用できます。
インプラント治療にともなう一般的なリスク・副作用
- 機能性や審美性を重視するため自費(保険適用外)での診療となり、保険診療よりも高額になります。
- インプラントの埋入にともない、外科手術が必要となります。
- 高血圧症、心臓疾患、喘息、糖尿病、骨粗鬆症、腎臓や肝臓の機能障害などがある方は、治療を受けられないことがあります。
- 手術後、痛みや腫れが現れることがありますが、ほとんどの場合1週間ほどで治ります。
- 手術後、歯肉・舌・唇・頬の感覚が一時的に麻痺することがあります。また、顎・鼻腔・上顎洞(鼻腔の両側の空洞)の炎症、疼痛、組織治癒の遅延、顔面部の内出血が現れることがあります。
- 手術後、薬剤の服用により眠気、めまい、吐き気などの副作用が現れることがあります。
- 手術後、喫煙や飲酒をすると治療の妨げとなるので、1週間は控えてください。
- インプラントの耐用年数は、口腔内の環境(骨・歯肉の状態、噛み合わせ、歯磨きの技術、メンテナンスの受診頻度、喫煙の有無など)により異なります。
- 毎日の清掃が不十分だった場合、インプラント周囲炎(歯肉の腫れや骨吸収など)を引き起こすことがあります。
麻酔薬の使用にともなう一般的なリスク・副作用
- 歯肉に塗布する表面麻酔や、一般的な歯科治療で歯肉に注入する浸潤麻酔は保険診療となります。インプラントによる治療などの自費診療(保険適用外)で笑気吸入鎮静法、静脈内鎮静法、全身麻酔を行なう場合は自費診療となり、保険診療よりも高額になります。保険診療となった場合も、高額になることがあります。これらの麻酔法を保険診療で行なうには治療内容など条件がありますので、詳細は歯科医師にご確認ください。
- 表面麻酔薬の使用により、じんましんやむくみなどを発症することがあります。
- 浸潤麻酔の使用により、アドレナリンの影響で血圧上昇や動悸などを発症することがあります。高血圧症や心臓疾患のある方は注意が必要なので、事前にお申し出ください。
- 笑気吸入鎮静法の実施により、ごくまれに効果が切れたあとの吐き気や嘔吐、末梢神経障害が現れることがあります。
- 静脈内鎮静法の実施により、薬剤による影響や全身疾患との関連から重篤な副作用を引き起こすことがあります。持病のある方は注意が必要なので、事前にお申し出ください。
- 全身麻酔により、吐き気や嘔吐、肺炎、アナフィラキシーショック、悪性高熱症などを発症することがあります。また、誤嚥性肺炎を起こすことがあるため、治療前日24時以降は絶食いただいています。
- そのほか、麻酔薬の影響ではなく緊張状態や麻酔注射時の疼痛により起こる脳貧血により、悪心、吐き気、手足の震え・痺れが起こることがあります。
- 麻酔効果が切れるまで口の中の粘膜や唇の感覚が麻痺しているため、唇を噛んだりやけどなどをしないよう、食事は避けてください。
- アルコールにより血流が良くなり、出血・腫れ・痛みが増してしまうことがあるため、飲酒は避けてください。